倍速視聴と倍速講義に関する考察
読売新聞でインタビューを受けた際に日本史講師土屋文明のオンライン授業での受講生の倍速視聴と実践している倍速講義に関する考察の全文です。
【結論】
倍速視聴とは、情報通信技術の発展や革新的な情報獲得のデバイス・アプリ・サービスの多様化による学生の学びの手段の進化である。
1. 倍速視聴は学習効果を高めるか
倍速視聴により時間に対する情報密度は高まる。しかし、それは時間が圧縮されているだけであり(時短効果)、情報内容には変化がない。よって倍速視聴は効率よく情報内容を抽出する手段として有効である。
また、視覚と聴覚を使った倍速視聴(仮に速視聴と呼ぶ)は、デバイスとアプリによって個人の足りないスキルが補われて成立しているのでデジタル世代には習得が容易である。
◇倍速視聴と学習効果
① 再生速度を上げれば情報の聞き逃しも起こるが、これはノーマルスピードでも起こりうる現象であり、ノートが取れる程度の速度ならば発生率は通常再生と同じである。つまり、倍速視聴によって学習効果が低減することはない。
② 許容できる速度には個人差があるが、各自の許容限度に応じた可変速視聴であれば、同様に学習効果は低減しない。
③ 倍速視聴とは「情報をどのような方法でより効率よく入手するか」という手段の問題であり、「誰から教えてもらうか」という属人的な問題ではない。
④ オンデマンド授業では、聞き逃した箇所の戻り再生や重要箇所の繰り返し再生が可能なので、単位時間当たりの理解は通常授業より高く、知識定着に必要な反復演習に余剰時間を充てることができる。
2. 授業を倍速で行うと学習効果は高まるか
◇倍速講義と学習効果
① そもそも倍速視聴は、発信者(教育者側)の緩慢な授業によって単位時間あたりの情報量が少ないから行われている手段である。自らの緩慢な授業を倍速にするのではなく、通常速度でも情報抽出をしやすい授業の内容や構成を考えるべきである。
② 緩慢な授業そのものが学生のストレスだとすれば、それを単に倍速にしたことで許容できないストレスが発生し、かえって学習効果を低減させる可能性がある。
3. なぜ土屋文明は倍速講義によって圧倒的な成果を出せるのか
代ゼミの合格者の声には「情報量が多いのに効率的」「90分があっという間」といった、一読すると矛盾する記述があふれている。土屋の講座(詳説日本史講義)は、補足学習・史料確認・語句の暗記・問題演習・形式対策がすべて含まれた「オールインワン」の講義である。
◇神速と圧縮のロジック
土屋文明は倍速講義で単に時間を圧縮しているのではない。受験に関するすべての情報内容をプロット(構成要素)でくくり、単位時間で完結できるように情報密度そのものを高めているのである。
無駄をそぎ落として「圧縮」された情報は、授業後に「解凍・再現」する必要がある。そのためのツールが情報整理マップ「サクナビクス」とYouTubeで提供されている動画・音声教材である。書き込みを加え、因果関係から全体のシナリオをイメージさせることで、膨大な情報量がある90分の授業を「あっという間」と感じさせるのである。
「教科教育に『教師』は必要のない時代は既に到来している。倍速視聴する学生の目には、教科教育者は映っていないのである。」
日本史講師 土屋文明



